不妊治療と仕事の両立って結構きついですよね。
私は医師として働きながら、2年間不妊治療をしてやっと妊娠しました。
医師の業務は、日中の忙しさに加え、当直やオンコールなどで非常に大変です。
不妊治療はいつ病院受診するのかなどの予定が直前までわからないので、急に仕事を休む申し訳なさでいっぱいになったり、時には休めなかったりということがあると思います。
人生の大きなライフイベントである妊娠、出産。
後悔のないように治療を行うためにはどうしたらいいでしょう。
不妊治療のために仕事をセーブしたり、休職したりすることも1つの方法だと思います。
私の体験談も交えながらお話します。

女性医師は不妊症合併のリスクが高い
アメリカの医師情報サイト「MDlinx」に女性医師は不妊症合併リスクが高いという記事が掲載されました。(2023.5.12掲載)
(要約)
女性医師は一般の人に比べて不妊症や流産のリスクが高い。
一般女性の初産年齢は27歳だが、女性医師は32歳である。
不妊症と診断される割合は一般女性の2倍、流産経験も2倍である。
ストレスの多い職場環境は不妊症の一因になる。
女性医師の妊娠のためには教育やサポートが必要である。
「Female physicians are at an increased risk of fertility complications」
と言った内容が記載されています。
確かに6年間医学部に通って勉強し、その後2年の初期研修、レジデントと一人前と呼べるようになるには長い道のりです。
ストレートで研修医を終えても26歳、数年の浪人や再受験などを挟むと30歳近くになっています。
結婚や妊娠を考える時期がどうしても遅くなってしまいますよね。
その後の激務などもあり、不妊症合併のリスクが高いことは頷けます。

私も不妊治療を2年間行いました!
不妊治療と仕事の両立

不妊治療をする際、仕事との両立は非常に大変です。
急な受診、仕事を早退できるか。休めるか。
受診するスケジュールはタイミング療法や人工授精、体外受精で異なってきますし、病院によっても様々です。
誘発する方法によっても受診の頻度は変わってくるため、一概には決められません。
また、受診のタイミングも「次の生理がきたら」とか「エコーで様子をみながら」とか自分でも数日前にならないとわかりません。

生理がきたら予約をとって、2日後に受診!とかなので当直やオンコールをいつ入れるかなど悩みましたね。
仕事を早退させてもらうのも2日前くらいに、この日早く帰りますといって、症例が多い日などは非常に申し訳なくなります。
また、採卵などで休みをもらう日も直前にしかわからないので急な休みをとることになります。
夫婦での受診の日は?
男性はあまり受診の頻度は多くはありませんが、時々受診する時もあります。
(どうしてもの時は受診しなくてもいいよと言われることも多いですが。)
私は可能なら夫婦一緒に受診したほうがいいと思います。
自分だけが頑張ってると思うと辛いですので、夫婦2人で頑張ってると思えた方がいいです。
旦那さんも忙しい場合、休みを取るのは難しい事もあります。
ですが、可能なら数時間だけでもいいので、抜けてきてもらいましょう。
合併症が出て仕事を休まなければならないこともある
体外受精の場合
- 卵巣過剰刺激症候群
- 腹腔内出血
- 感染
などの合併症が起こることもあります。
もし、合併症が起きた場合は仕事はお休みしなければなりません。
合併症が起こると仕事どころではなくなります。

私は3回目の採卵で卵巣過剰刺激症候群になり腹水でお腹がパンパンになって2週間ほど仕事をお休みしました。
なかなか妊娠しない場合のメンタルの問題
なかなか妊娠しない場合、結構メンタルにきます。
妊娠判定で陰性だと悲しくなりますし、不安にもなります。
仕事との両立に悩んだり、時にはパートナーにイライラしたりする事もあります。
なかなか妊娠しないことにストレスを感じすぎると、さらに妊娠しにくくなってしまいます。

不妊治療中は自分が思っているよりも精神的に辛くなることも多いです。
息抜きも非常に重要です!
ストレスを溜めすぎないようにしましょう。
仕事をセーブ、休職するのも1つの手段
どうしてもきつい時は環境を変えてみましょう。
何年間も不妊治療と仕事の両立に悩むより、おもいきって仕事を減らすのも1つの手段です。

キャリア形成は大変ですが、子どもが産まれてからも可能です!
夜勤などの当直やオンコールを免除してもらう
当直がきつすぎる場合は上司に相談して減らしてもらうか免除してもらいましょう。
すべてを免除するのは難しいことも多いかもしれませんが、上司の中には意外と不妊治療経験者も多いです。
中には男性医師でも「自分の奥さんもきつそうだったよ。大変だね」と気遣ってくれる人もいます。
相談して良い方法を考えてみましょう。

私は相談後、オンコールはずっと続けていましたが、救急当直は免除してもらいました。
職場に不妊治療休暇がある場合は活用する
最近は職場によっては不妊治療休暇を設けているところもあります。
自分の職場にも知らないだけで不妊治療休暇があるかもしれません。
一度確認してみましょう。
有給扱いではなく、特別休暇になることもありますよ。
医局人事の場合、少しゆったりとした病院への人事移動の希望を出してみる
急性期の忙しい病院だと、当直やオンコール免除が難しい場合もあります。
日中の業務にも追われて、なかなか休みを取りにくいことも多いですよね。
もし、医局人事であれば他の病院に人事希望を出してみましょう。
期限を決めて休職するのもあり
期限を決めて休職するのも1つの手だと思います。
不妊治療は長くなればなるほど、精神的にきつくなります。
仕事との両立がきついということであれば、環境を変えるという意味でも1年間くらい休職しても良いと思います。

私は不妊治療が2年を過ぎた頃に精神的にきつくなり、休職の相談にいきました。
相談の結果、その後数ヶ月は非常勤としてぼちぼち働いて妊娠しました。妊娠後から常勤に戻り今に至っています。
転職という選択肢もある
今の職場での働き方を変えるのが難しい場合は転職という選択肢もあります。
医師転職エージェントの担当者さんはこちらの家庭環境や仕事の状況に応じて、希望に近い職場を探してくれます。
実際に転職する、しないは転職先をみて決めることも可能です。
一度相談してみてください。
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まとめ
妊娠、出産は本当に大きなライフイベントです。
本当にきつい場合は仕事をセーブするのも1つの方法だと思います。
仕事は頑張ろうと思えば何歳からでも頑張れます。子どもが産まれてからでも遅くはありません。
不妊治療と仕事の両立は難しいですが、後悔のないように自分の心と体を大切にしてくださいね。
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